Mathematics

Topology from the Differentiable Viewpoint

著者

J. Milnor

内容

微分トポロジーとよばれる分野の初歩を解説した古典的名著。多変数解析や多様体論についての予備知識は必要なものの、群論などの知識はなくても読めるよう配慮されている。主に写像度という概念について解説することを目標としており、薄い本ながらとても濃い内容になっている。「多様体の定義を勉強したけど、こんなものを考えて何が面白いのか分からない」と思ったらこの本を開いてみるのもいいかもしれない。

感想

大学一年生の秋に友人とセミナーをしながら読んだ思い出の本です。まさしく『多様体の基礎』を読んだ直後に読みました。今でもこの本をたまに開いてみると新たな発見があったりします。例えば、この本の最後の章は実質的に$\pi_n(S^n)\cong \mathbb{Z} $の微分トポロジー的な証明を与えています。
しかし、当時の自分にはこの本を読みこなすのはとても大変でした。『多様体の基礎』はほとんどの証明をかなり丁寧に書いてくれているのですが、そのノリでこの本の記述を見ると「だいたいこんな風にやればできるからあとは任せた!」という印象を受けると思います。つまり、読みながらゴリゴリ行間を埋めていく必要があります。一方で、それは読み切れた暁には相当な腕力が身についていることを意味するのではないでしょうか。私は同級生や先輩の力を借りながらこの本を読み切りました。これからこの本を読もうと思う方にも、ぜひ仲間や先輩と一緒に読み進めることをおすすめします。
なお、日本語訳がありますが、私は原著が好みです。

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